ムーンライダーズの武川雅寛さんが新作を出してくれました。これは一言で言って「死の匂い」がします。
題名からして生死を彷徨った期間から取られているし、何より掠れたボーカルが痛々しい、というより迫力がある。これはドスが効いていて怖いですが、何と言ってもお昼寝系の方なので音楽はリラックスしている。というより涅槃の音楽だな。
何かに似ているなと思ったらトム・ウェイツでした。酔いどれではないですが、あのハスキーな、というより捻り出すような人間業ではない妖怪のような声。そこまで行かないまでも音の感覚とボーカルのもたらす雰囲気が絶妙なバランスで、そこに鬼気迫る迫力が伴う。
でも武川雅寛の音楽にはそんなネガティブな感じはない。もっと気楽で楽しい、音楽を心から愛して、でも気張らないという素敵なスタンス。そんなものを読み取りました。作品を出してくれて本当に良かった。ライダーズのセルフカバーも愛おしいです。