このアルバムを最初に聴いたのは何年前だろうか。確かアナログの再発盤を買ったような気がするが、山下達郎の熱心なファンではなかった自分が冒頭の『SHOW』でノックアウトされたことだけは覚えている。友人の山下達郎ファンはCD化の際に購入し、「毎日家に帰るのが楽しみ」と興奮気味に語っていた。そのくらい勢いのあるいいアルバム。何よりメロディアスで躍動的だ。
山下達郎と大貫妙子の2枚看板で頃合いのいいバリエーションのある構成。今回はボーナストラックは一切ないが、収録時間も43分と丁度いい。リマスターの音はビートルズ以降ということで音圧も抑えめで耳に優しい。かつクリアで疲れない音。砂原良徳の『ファンタズマ』同様、これが09年以降のリマスターのスタンダードなんだろう。
基本的に全曲聴き逃し厳禁だが、『すてきなメロディー』『今日はなんだか』『雨はてのひらにいっぱい』という後半3連発が鉄板。75年に生まれた日本のポップ・ミュージックの金字塔。萌芽だ。