ザ・ビートニクス『EXITENTALISM 出口主義』

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ビートニクスのボックスが出ました。TENTレーベル設立30周年を記念して企画されたものですが、何より嬉しいのは1stのリマスターです。砂原良徳が個人的にリマスターしてご本人達に渡している、という話もありましたので、もしかしたらそれが発売されるのでは?と期待していましたが、無事正規の再発と相成りました。ハイレゾアップコンバートとのことですが、音はやはりいいですね。

一番良かったのは「Ark Diamant」かな。ドラムの音が温かさを保ちつつ艶かしくて、柔らかな迫力を出して聴こえます。全般的に音圧も行き過ぎず、オノセイゲン氏の丁寧な仕事がうかがえます。

この作品は怒濤の81年リリースですので、当時当然のことながら発売後すぐに入手しましたが、最初は「No Way Out」のような複雑なリズムに圧倒されていました。やはり当時としてはYMO文脈で聴いていた。実はムーンライダーズの作品を聴いたのはそれよりもずっと後のことでした。ただ、今となってみると、鈴木慶一作品の「Mirrors」や「L'Etoile de Mer」のような作品が耳に残るようになっています。ムーンライダーズとしては、この後『マニア・マニエラ』や『青空百景』になっていくので、まさに絶好調の時代な訳です。

一方、高橋幸宏もやはり絶好調で、繊細かつ力強い音が全編に漲っています。本人の解説コメントにもあるように、「Inevitable」は『BGM』の「CUE」や『ニウロマンティック』の「Glass」と地続きにあるんですね。

シングルの「River In The Ocean」も無事収録。ワンテンポ間を置いた録音なので、雰囲気としては『What Me Worry』の頃の音が鳴っていますが、これもまたいい曲。

それにしてもこんなに長く続くユニットになるとは思いもしませんでしたが、35年経った今でも色褪せない魅力を保ち続けるというのは凄いことです。ここ最近のライブで1stからの楽曲を演奏してくれるのもとても嬉しいですが、今聴いても古さを感じさせないのが素晴らしいと思います。

工場のビジュアルも当時カッコよかったなあ。