マイルス・デイヴィス『Milestones』

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昨日古本で入手した『ハード・バップ』という本を読んでいますが、リー・モーガンが銃で撃たれて亡くなった話とか、クリフォード・ブラウンは至極健全な人だった、みたいな話が出てきて、後追いで聴いている身としては目から鱗が落ちるようでした。50年代に出てきたプレーヤー達には当然様々なドラマがあって、時代の狂騒とともに駆け抜けていったんですね。

 

久々にまたマイルスに戻って来ました。こちらは58年の録音。マイルスが初めてモードという手法を使って作曲した作品といわれていて、『Kind of Blue』に後々繋がっていく過渡期の作品となります。

 

直感的に「少し難しくなってきたな」という印象を抱いています。フランスから帰ってきてキャノンボール・アダレイをチームに加えて勢いの良い演奏をしていますが、やはりどこか楽しいだけではない、観念的な雰囲気が漂い始めているような気がします。

 

レッド・ガーランドが余り目立たないのも特徴的です。管楽器のない曲でピアノを弾きまくっている楽曲も一曲収録されてはいますが、全般的にはリズムに徹している感があって、これは時代の流れが変わっていく証拠なんだと思います。

 

ただ、最初はもう少し暗い感じなのかと思っていたので、予想外にアップテンポな曲が多いのには少しホッとしました。