矢野顕子『OUI OUI』

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90年代の矢野顕子を再発見する。前回の『Go Girl』に続いてこちらは97年のリリース作品です。とても良い作品でした。

 

この時期の最大の魅力はニューヨーク勢をゲストに迎えたプロフェッショナルな演奏家を携えて走るクオリティのすこぶる高い演奏にあると思うんですが、ここでは矢野顕子本来が持つ温かさ、ポップな側面がきちんと維持されています。これはおそらく全編の編曲を矢野顕子自身が担っている事による統一感なのではないでしょうか。ハイクオリティでありつつ、とても聴きやすい音楽に仕上がっています。

 

一番耳を捉えるのはやはり槇原敬之が参加した「クリームシチュー」なんですが、ここでのポップな側面と他の東海岸勢参加楽曲が自然と同居していて違和感がない。これがポイントでしょう。クールになり過ぎない絶妙なバランスがあります。たとえパット・メセニーがギターを弾いていても、聴こえ方は矢野顕子の温かい感触がキープされています。

 

「Brooklyn Bridge」という曲でユートピアのカシム・サルトンがコーラスで参加しているのを発見した時には、間接的に矢野顕子トッド・ラングレンが繋がったような気がして嬉しく感じました。

 

想像していた以上にいいアルバムだったので、余り注目されていないのが非常にもったいないと思いました。