小坂忠『Garden of Archives』

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小坂忠のボックスもやっとあと2枚まで来ました。充分堪能してきましたが、意外にも色々な側面を持ったアーティストだということが分かりました。

このディスクは基本的に未発表曲集ですが、前半はほとんど歌謡曲。こんな仕事もしていたんですね。70年代の歌謡曲を聴くことはほとんどありませんので、「ああ、確かにこんな感じだったなあ」と思わせる内容です。音のクオリティは確保されていても響いてこない、後に残らないんですね。

後半はライブ音源ですが、76年の方は超スローの『機関車』が秀逸です。ボーカルも艶があって、あまりにスローテンポな演奏でも緊張感がまったく失われない。バックはウルトラというバンドですが、ハックルバックのメンバーのようですね。小坂忠はライブでもアレンジをかなり変えて演奏していたようで、『機関車』でも時期によって様々な表情を見せていきます。

もうひとつは葡萄畑をバックに繰り広げる74年の音源で、『はずかしそうに』あたりの楽曲を演奏しています。ラストははっぴいえんどの『暗闇坂むささび変化』のカバー。これもテンポが遅めになっていて、まるで小坂忠のオリジナルのように歌いこなしています。細野晴臣の曲とは基本的に相性がいいんでしょう。いいですね、これは。結構個性が強い曲なのに、こんなにも自分のものにしてしまうなんて。これには驚きました。