トッド・ラングレン『Global (Deluxe Edition)』

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トッドの新譜は必ずデラックス・エディションを購入しましょう。DVDとの2枚組ですが、2時間近くもある豪華な内容です。Webcastで配信されている映像をパッケージ化したもののようですね。

本編の新作は正直言って凡庸なEDMの域を出ません。日本盤にはYMOの「テクノポリス」のカバーがボーナストラックとして収録されているようですが、聴く必要はないと思います。YouTubeで聴けば充分でしょう。本作の魅力は確実にDVDの方にあります。

3年前の2012年5月のニューヨークでのライブのようですが、ライブハウスのような小さな会場で観客と和気あいあいと過ごす2時間。まるで実際にライブを観ているかのような気になります。演奏も服装もトークもラフでリラックスしていますが、ベースはカシム・サルトンですし、セットリストもなかなか貴重なものが多い。

「I Don't Want to Tie You Down」のギターでの演奏にはハッとさせられますし、余りライブではやらない「Determination」なんかも入っています。「Past」という曲は『Liars』に収録されている曲のようですが、なかなかいい曲ですね。聴き直してみようと思います。

「I Was Born to Synthesize」はジャジーなアレンジで新鮮に聴かせます。「I Saw The Light」は最近お馴染みの『With A Twist』バージョン。「Lysistrata」も「There Goes My Inspiration」も演奏してくれる。日本でいえばビルボードあたりでやっているような感じの小さなハコで親近感たっぷりに見せる21曲。最新型の楽曲は今ひとつですが、これまでの蓄積を力を抜いて演奏する姿はとても微笑ましい。ファンも年配の人が多くてどうかなとも思いますが、ベテランなので仕方ないですね。この自然体なところが昨今の細野晴臣のようでとても好感が持てます。