はっぴいえんどの解散コンサートは実質次の活動のお披露目の場を兼ねていて、既にナイアガラやキャラメル・ママといった要素が包含されています。従って、ここでの演奏は終止符であると同時に出発地点でもある。かつゲストメンバーとしてひっそりとその名を刻んでいる鈴木慶一がはちみつぱい、ムーンライダーズといった形で活動の幅を広げていく原点としても捉えられるという強烈なドキュメンタリーとなっています。まさに記念碑。ここに日本のポップスの萌芽を見ることは充分に可能かと思います。
はっぴいえんどの楽曲再現はアレンジもかなり変えているものもあって、70年代前半の目紛しい変化を感じざるを得ません。そんな中でもアンコールで演奏される初期楽曲の達観は場数を経てきた貫禄を見せており、後にボックスで発掘されることになる様々なライブ演奏音源が修羅場をくぐりぬけてきたことを証明しています。
中間地点でもあり節目でもある。ただそこには次の時代への架け橋となる要素も含まれているという貴重なターニングポイントを記録した音源と言えるでしょう。