75年リリースの吉田美奈子初期のライブ盤。非常にソウルフルな演奏でカッコいいですね。
本作とその前の『MINAKO』についてはアルファの村井邦彦プロデュースによる「歌姫」路線で必ずしもご本人の意向に沿ったものではなかったようですが、なんといっても演奏陣が超一流なので音楽自体は物凄い熱量で伝わってくるものがあります。これはメンバーを記載しておいた方が良いでしょう。
吉田美奈子(vo)
村上”ポンタ”秀一(ds)
高木健司(b)
松木恒秀(g)
伊藤銀次(g)
浜口茂外也(per)
佐藤博(kbd)
矢野顕子(kbd)
山下達郎(cho)
大貫妙子(cho)
ハイ・ファイ・セット(cho)
ということでまさに鉄壁。演奏も最高なんですが、ここに欠けているのは1stの『扉の冬』にあったようなオリジナリティ。といった言われようですが、そんなこともなく、歌唱力を世に証明したソウルフルな実力が明確に表面化しているという意味でとても貴重な記録だと思います。経緯はどうあれその後はソウル路線に突っ走っていくので、ここでの姿はそのイントロダクションのような形となっている。B面の洋楽カバーがそう思わせているだけかもしれません。
ここ最近ずっと山下達郎を聴いてきたので、70年代の同じような空気を感じますし、ここにも当時の熱量がパッケージされている。同時期の小坂忠の『ほうろう』あたりとテイストやメンバーも近い。確か当時一緒にツアーをしていたはずです。ですので、あの素晴らしい世界がここでも体験できる、といった感じでしょうか。