矢野顕子『ELEPHANT HOTEL』


90年代の矢野顕子を再評価するシリーズも段々残り僅かになってきました。こちらは94年リリース作品。全面ニューヨークのミュージシャンとの演奏となっています。このプロフェッショナル具合が90年代の真骨頂。

 

最も素晴らしいのはやはりユニコーンの「すばらしい日々」のカバーです。全く別物の大人のポップスに生まれ変わっていて、演奏者でこうも変わるか、という鬼のようなクオリティ。余裕のある演奏が素晴らしい。これは敵わないなあ。

 

「夢のヒヨコ」もここに入っていました。この曲だけテイストが違う。確か「みんなのうた」かなんかでかかっていたような記憶があるので制作時期やプロダクションが違うんでしょう。これが一番ポップ。でも「すばらしい日々」の前では霞んでしまうなあ。

 

大貫妙子の「色彩都市」に別の歌詞をつけたカバーなんかも入っていて楽しいですが、ここにはもう坂本龍一の姿はありません。「FRIENDS AGAIN」みたいな曲もあって少し勘ぐってしまいますが、その辺りをアスリートのような演奏で跳ね返すところが矢野顕子のど根性ですね。