矢野顕子『Super Folk Song』

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ここ最近上原ひろみと一緒にプロモーションに励んでいる矢野顕子の92年リリース作品。活動40周年でボックスセットが出たり、まさに本作を録音した現場を撮影した映画がリバイバル上映されたりと、ここ最近の露出はとても多いですが、先日の忌野清志郎の命日に再放送された『矢野顕子忌野清志郎を歌う』の録音現場をこちらも撮影した番組を見ながら、そして少し前に矢野顕子を特集したユリイカを見ながらこの作品のことを考えていました。

意外にも弾き語りに自信を持てるようになったのはこの作品からだったそうで、今のピアノ=矢野顕子のイメージからすると余りにも遅いようにも感じます。もうひとつ、この作品の特徴はカバー曲が多いということ。先の忌野清志郎のカバーで「デイドリーム・ビリーバー」を演奏していたのを観た時はとても驚きましたが、ここでの演奏はそこまでいかないまでも相変わらず自分の曲のように歌い紡いでいて、ヒリヒリしていた現場からは想像がつかない情感の表現。はちみつぱい系の楽曲「大寒町」「塀の上で」が気になっていました。でも意外とストレートでしたね。「SOMEDAY」なんかの方が大分崩されています。

元々矢野顕子の熱心なリスナーではなかったのであまり真面目にキャリアを追いかけていなかったんですが、90年代以降は特にほとんど聴けていません。これを機会に少し聴き返してみようとユリイカを見ていて思った次第ですが、その初っ端としてはふさわしい強いようでいて実は耳に優しい音楽でした。いつか映画も観なければ。