直枝政広「宇宙の柳、たましいの下着」

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ということで、やっと読み終えた。とてもためになる本。最近のディスクガイドとしてはレコードコレクターズの各年代ベスト100が店頭を賑わしたが、当然ミュージシャンの本なのでそれらとは一線を画する内容。本人のブログを読んでいる雰囲気もあり、かつ一冊の書籍のようでもある。というよりこれも作品の内だろう。

直枝といえばザッパというイメージがあるが、前にも書いたように今回はソウルの記述を期待した。しかし内容は多岐にわたるリスナー遍歴とカーネーションの各時期にリンクする本人史に近い。愛情たっぷりに語ってくれるのも良く、実際に知らないアーティストも多い。それから部屋の写真!これ凄いわ。レコードとCDが沢山ある。小西康陽が自分の買ったレコードをどこで買ったか全部覚えている、という話があったが、直枝もそうなんだろうか。少なくとも自分はそうなので・・。

スティービー・ワンダーの「ファースト・フィナーレ」を絶賛していたり、パーラメントにはのめり込んでいなかったり、昨今の紙ジャケ再発に関しての鋭い批判など見所は注釈も含めて多いが、何よりエリオット・スミスから始まってジョン・レノンで終わるこの本からはこれから何年かかけて勉強させていただける指南役として活躍してもらう価値のある一冊である。