ムーンライダーズ『OVER the MOON 晩秋のジャパンツアー2006』

f:id:tyunne:20181007115908j:plain

もう1年前になるのか・・。CCLemonホールで行われたムーンライダーズ30周年の締めくくりをおさめた2枚組DVDが発売された。ちょっと高かったけど義務なので購入。実際のコンサートも会社の人と見に行った。

当時も書いたが、やっぱり見返してみても『シナ海』が最高だ。このバンドの年季を感じるリラックスした演奏になっていて、唐突にメインボーカルをとる鈴木博文がたまらなくかっこいい。鈴木慶一も気持ち良さそうに演奏していて、アコースティックギターソロでは弟の曲に花を添える。

前半は新作からの曲中心の地味な演出だが、中盤『ゆうがたフレンド』から展開が変わる。かしぶち哲郎にメインボーカルが変わって2曲目の『砂丘』ではイントロで観客から歓声が上がる。そして『シナ海』、その後岡田徹が『ニットキャップマン』でメインボーカルとなる。岡田徹は『週末の恋人』以来メインはとらないはずだったのに、ここでは当然のように歌っていて当時驚いた記憶がある。その後白井良明が『外伝』でメイン、という素晴らしいリレーでムーンライダーズの懐の深さを垣間見せる。

その後の『トンピクレンッ子』で鈴木慶一が踊り出し、観客席に降りてオタク系の数名の女子を引き連れて走り回る様を見て、さすがにクールな鈴木博文吹き出してしまっている。これは見ていて笑ったなあ。手を引かれる女性の顔つきがいかにもムーンライダーズのコンサートにいそうな感じで、しかも表情が屈折した文科系女子の困った顔、という趣。自分も含めて相当年齢層の高い客も見受けられた会場では不思議な地場が発生していた。やっぱマニアックなんですよね。

メンバーによる副音声解説はまだ聞けていないので、正月にでも見るかな。「外は正月みたいな空」という『青空のマリー』の一節はいつも正月休みになると思い出してしまう。本当に今日みたいな晴れた空と澄んだ空気が爽やかなバンド(になれない?)に似合うんですよね。

ムーンライダーズは10周年、20周年でも何かしらのイベントを催してきたので、30周年はその総括でもあるような雰囲気があった。果たして40周年があるのかどうかは分からないが、是非6人とも死なずに生きて40周年イベントを開催してほしい。と、切に願う2007年の年末なのであった。