デヴィッド・シルヴィアン『シークレッツ・オブ・ザ・ビーハイヴ』

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87年発表の4作目。静かなたたずまいの傑作だ。大分後になってWOWOWで放送したデヴィッド・シルヴィアン特集で見た『Orpheus』のPVは、ジャケットのアートワークそのままのセピアな映像で、統一された世界観に感心した。

基本的にポップな曲が多く聴きやすいが、ジャジーな雰囲気が全面に出て、しかもいい意味で軽さがある。『Orpheus』の一度終わりかけるようでいて唐突に復活するピアノの音や、『When Poets Dreamed of Angels』でのアコースティック・ギターの入り方、『The Boy with the Gun』の終わり方、『Let the Happiness In』の展開など、細部に神が宿っている入念な作り込みがあくまで自然に聴こえてくるところが渋い。

派手さはないが、ふとしたことで手に取ることの多い水墨画のようなアルバムだ。