ユートピア『Oblivion』

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PCを修理に出していたので久々の更新となった。同時に待たせに待たせたユートピア再発の国内盤。末期の作品だが今回デラックス・エディションということでDVDとセットでの再発。以前これと『POV』の2in1を中古で買ったが、アナログと合わせると3度目の購入となる。まあこれで決定盤でしょうね。

時系列で言うとDVDの映像の方が81年なのでまずはそちらから見たが、ユートピアというバンドはほんとにコーラスワークの水準が高い。これ4人でやってるの?という見事なハーモニーで映像を見るとそのシンプルな構成に驚かされる。以前来日公演を観に行ったこともあるが、やっぱり演奏が上手で驚いた。トッド・ラングレンの歌がうまいのも驚愕的だが、他のメンバーもほんとに堅実で卒がない。それにしても客席の人、ジェフ・リンに似てるなあ。

卒がないということは刺激にも欠けるということで、見ていて震えるような感動はないのが正直なところ。ステージは盛り上がっていて言うことないが、何かこうグッとこない。曲もいいんだけど何故なのか?もうひとつ。やっぱりトッドは70年代のアーティストなんだなあ、ということを実感した。CDの方もそうだが、やはり80年代に入ってユートピアも確実に失速している。音は80年代初頭っぽい音だが、手法からして既に遅れをとっている。曲はいい曲もあるのでいっそ思いっきり70年代のまんまでやっていてもよかった、というのは今だから言えるのかな。この時期はどのアーティストも当時の電子音に寄り添っていて、なるべく当時の最新の音を導入する試みが増えていたはずだ。それが逆に今聴くと古臭く聴こえてしまうのは致し方ないところ。メロディ重視の70年代型アーティストには80年代は辛い時期だったのかもしれない。

で、CDの方だが、何といっても名曲『Maybe I Could Change』が入っているのがミソで、これ1曲のためにこのアルバムは存在しているといっても過言ではない。