『大貫妙子トリビュート・アルバム』disc 1

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大滝詠一さんへの追悼の意を込めて新年一発目に選んだのは大貫妙子トリビュートでした。当然御大は参加等しておりませんが、シュガーベイブ繋がり、ということと、御大が切り開いた地平はここまで成熟進化しているんだよ、という意味合いを感じながら(とはいえ岡村靖幸坂本龍一の『都会』がカッコよかったからだけなんですが・・)2014年を始めていきたいと思います。

その冒頭の『都会』は痺れる程カッコよくてファンキー。キーボードのソロ部分はわざわざ採譜して弾き直したそう。やはり岡村靖幸の歌はいい。同時期に出たカーネーションのトリビュートにも参加しているのでこちらも要チェックですが、やはりオリジナル・アルバムに手を出さざるを得ないかなこれは。それにしてもワールド・ハピネスがきっかけで起こる音楽の動きというのは非常に大きいですね。ビートニクスの『LABYRINTH』だっておそ松くんズで共演している曲だし。

やくしまるえつこも結構良かったですが、やはりKIRINJIのスタジオ初録音を聴くべきでしょう。確かに暗いですがこれもワールド・ハピネスで楽屋に挨拶に来たとのエピソードが語られています。あれ8月だから、その頃から企画は進んでいたんですね。奥田民生が『突然の贈りもの』をカバーしていますが、この曲が収録された『MIGNONNE』は大貫妙子本人が小倉エージのプロデュースに辟易していたことから余り聴かずにいた(というより失礼ながら大貫妙子のリピート率は低い)ので基本的に聴き込みの足りない作品なんですが、先日改めて聴いてみると結構いいんですよ。1st、2ndからの流れがあるから当たり前かな。

ラストは松任谷由実キャラメル・ママによる『色彩都市』ということで鉄板揃いのラインアップですが、何より曲がいいのとその躍動感、ビートのキレが追加されている印象を強く持ちました。本人は楽曲自体に自信たっぷりなのでコメントも余裕綽々ですが、その辺りの信奉者を突き放す感じが大滝師匠譲りといいますか、ストイックでいいと思います。たかが音楽。世の中を変えるなんてことはない。師匠の数々の名言はきちんと弟子達に受け継がれています。

因にライナーにはインタビュー等の特典は一切なく、発言はすべてミュージック・マガジンからのものです。この辺りの親切さに欠ける振る舞いも大滝詠一譲りですね。ナイアガラBOXだって同時に出る本に解説を譲ったりしている訳ですから。割り切ってていいと思います。