オリジナル・ラブ『エレクトリックセクシー』

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これは不思議な質感。

やっと聴けたオリジナル・ラブの新譜。80年代リバイバルという孤高の趣向で昨年リリースされた新作ですが、今月出る矢野顕子の新譜もある意味同期しているので、高橋幸宏のMETA FIVEと共に少しずつ80年代初期の雰囲気が復活しつつある胎動は感じます。

田島貴男の場合、前作で奥田民生同様独りきりで録音した流れが今作にも違った形で現れているとも言えそうですが、何故にこの趣向に至ったのか非常に興味があります。ツイッターのつぶやきで80年代初期のエレクトリック・ポップスを聴いては興奮している様子がうかがわれていましたが、その対象は不明。恐らくは同様の趣向で当時を再現再解釈している海外のバンドを聴いていたものと推測しますが、それしにても何故に今この音を気持ちいいと感じたのか、その辺りが重要です。

答はありませんが、聴いていて気持ちいいのは確か。試聴で聴いた際にはアコギの音が印象に残りましたが、実際に聴いてみると打ち込みのコード感がイメージを支配していて、独特のロマンを醸し出しています。たった独りのグルーヴ。田島貴男は単独でも陶酔が可能な人なのである意味独特ですが、そこに横たわる時代性がとても気になります。

ワールドハピネスのライブで観た際にも感じた「次はバンドサウンドか」という予測を軽やかに裏切って独特の進化を遂げるオリジナル・ラブ。さて次はどこへ行くのか。そして時代は彼に追いつくのか。