プリンス『Art Official Age』

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地味だな・・。

目出たくワーナーに復帰したプリンスの新作。先行シングルがいくつかあった中、「Breakfast Can Wait」がなかなかカッコよかったので期待して聴きました。印象は非常に抑制された音。派手さはなく、ひとつひとつの音がかなり抑え気味に響いてきます。突き抜け方が今ひとつのような感じがします。これ、何でなんでしょうか。

楽曲そのものの傾向は以前から左程変わらないと思いますし、決して悪くはない。但し印象がとても圧縮された感じに聴こえてくるのは端的に音の選び方なのか、アレンジのせいか。ミックスで大分レンジを狭めているようにも聴こえます。音に奥行きがない。デジタルだからそうなのか、と言われてしまえばそれまでですが、一時期の山下達郎にも感じられたハードディスクレコーディングのギュッと音が詰まった感じ、と言えば分かりやすいでしょうか。そんな感覚が残ります。そこから更に突き抜けて自然な音にしていくプロセスを省略してるんじゃないかなあ。専門的なことは分かりませんが。

その上で楽曲の善し悪しを考えてみると、やはりそこも地味なんだなあと思います。最近のマシュー・スウィートにも感じるキャッチーなメロディがない感じ。引っ張っていくリード・トラックが不在なんですね。プリンスの場合、それでもグルーヴがあればまだいいんですが、今回はそこまでも至っていないような気がします。非常に内省的。この弾けなさ加減は加齢によるものなのか。ちょっと原因は定かではありません。果たして繰り返し聴いて変わってくるのかどうか。少し試してみようと思います。