ジョージ・ハリスン『Living In The Material World』

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73年リリース。第一印象はとても地味でした。

通して1時間弱なんですが、最近耳が持たないのでアナログよろしくA面で一回休んで聴いてみました。前半は地味な印象で、やはりフィル・スペクターの不在は大きいな、と感じていたんですが、後半で盛り返してきました。

ジョージ・ハリスンビートルズにもたらしたものはインド音楽やムーグといった他に替えられない武器を持ち込んだこと。偉大なる脇役といったところですが、後半の「Be Here Now」はインド音楽の旋律を自然な形で昇華した渋い一曲だな、という印象を持ちました。これは血肉化しているな、と思った矢先に次に続く「Try Some Buy Some」、そして短いながらも必殺の「The Day The World Gets 'Round」には痺れました。非常に複雑な曲が多い。かつ美しいといったところがポイントです。これはなかなかいいアルバムですね。

ジョージの歌は基本的に曖昧に出来ていて、ボーカルも線が細い。でもとても奥行きがある楽曲が多くて、また聴いてみようと思わせる魅力があります。複雑なので一度聴いただけでは魅力が分からない。この辺は渋いなあと思います。

フィル・スペクターが参加していたらもっと派手に作ったんでしょうが、結果的にはその後のジョージの地味な活動を象徴するスタートを切った渋さ満載の作品でした。いいアルバムを残してますね。