ロキシー・ミュージック『Heart Still Beating』

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82年のパリでのライブを収録した作品。この後解散してしまいますが、観客の歓声を聞く限りまさに絶頂期だったことを思い知らされます。

収録曲は各アルバムからまんべんなく選ばれていますが、やはり何といっても「Avalon」に尽きてしまうと思います。初期、中期の曲には元気がありますが、後期の曲の憂いには到底及ばないような気がして、実際観客の反応も素直にそれを現している。もっとも、82年は『Avalon』がリリースされた年ですので当たり前かもしれませんが、実際に後追いで知った身からするとロキシー・ミュージックは後期の印象が物凄く強い。このライブ盤で初期や中期の作品を聴き返すかどうか判断しようと思っていましたが、今のところ遡る程の魅力を感じられませんでした。少し違うんですね、方向が。

JAPANもそうですが、この時期の英国のバンドは絶頂期でピリオドを打ってしまうことが多くて、非常に残念でなりません。というより、どちらもフロントマンの個性が他を凌駕してしまって、もはやバンドである必然性が薄れていってしまったからなのだと思いますが、かろうじて残っている他メンバーとのアンサンブルが結果的には魅力に繋がっているので、非常に惜しい気がします。

この後ブライアン・フェリーはソロ活動に専念していく訳ですが、ロキシーとブライアン・フェリーが輝いていたのは80年代のほんの少しの期間に限定されてしまう。この一瞬の煌めきを納めたのが本作であるとも言えるのではないでしょうか。