リトル・フィート『Waiting For Columbus』

f:id:tyunne:20181116203609j:plain

78年リリースのライブアルバム。これはひとつの完成品を見せつけられている気がします。ほとんどキャリアのベスト盤ともいえる内容で、演奏の成熟度は半端ない。鉄壁過ぎて聴いている方が引いてしまう程です。

後期のリトル・フィートフュージョン色が濃くなっていくので、演奏に若干の博物館めいたところも見受けられて来るんですが、それでもこのライブでの躍動感と完成度は絶妙なバランスと勢いで迫ってきます。つけいる隙がないので聴いていて圧倒された後に飽きが来てしまう面も否めない。

それでもローウェル・ジョージのボーカルとスライドギターを聴けば全て吹っ飛んでしまう。ライブとは思えない演奏の質とめくるめく世界観が押して押して押しまくる。リズムの安定感も圧倒的です。熱量を保持するのはその辺りでしょう。

ボリュームも凄いので対峙して聴くにはエネルギーが要りますが、ただ聴き流すだけでも心地良い音になっているので大丈夫。「スパニッシュ・ムーン」のタワー・オブ・パワーのホーン陣がオリジナルを軽く凌駕して聴こえて来るのはFMから何度もピーター・バラカンが紹介した通り聴くものの耳を捉えて離さない。これだけでも聴く価値ありと思わせる演奏です。