トッド・ラングレン『Healing』

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81年リリース。ここで展開されるトッド・ラングレンの内省モードは聴いた当初は印象を薄めるものでしたが実は結構聴くアルバムです。

何といっても冒頭の「Healer」。この爽やかで複雑な曲は密かに躍動感もあってとても魅力的です。基本的に再度単独で作り上げた電子音満載の音づくりなんですが、アコースティックな響きがスパイスになっていて、何度聴いても飽きない、というより時間が経つと魅力が増してくる不思議なアルバムです。

「Compassion」等はその後もライブで度々取り上げられますし、シングルとしてボーナスで付属していた「Time Heals」「Tiny Demons」もとてもいい曲ですが、全般的には静かでシンプル。賑やかな曲でも電子音中心なのでどこか寂しげです。

アルバム全曲再現ライブで『Todd』と共に商品化されていますが、まさかこの作品が取り上げられるとは思いませんでした。トッドの中でももしかしたらひとつの転機になっているアルバムなのかもしれません。しかし81年でヒーリングとは何と時代の先を行っていることか。