トッド・ラングレン『The Ballad of Todd Rundgren』

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トッド・ラングレンのこの2ndは本当によく聴きました。次作の『Something / Anything』が名作とされていて実際そうなんですが、その1作前の本作こそピュアなトッドの魂が素直なままギュッと詰まっていて、各々の曲にさりげない魅力が一杯です。

白眉はやはり「Wailing Wall」だと思います。この独特の浮遊感と静かで哀しく、かつ優しいバラード。ピアノの弾き語りですがエコーを充分にきかせてまるで幻想の中にいるような、目眩のする音世界にスッと引き込まれます。

冒頭の軽快な「Long Flowing Robe」や小品の「The Ballad」もいいんですが、更に後半に畳み掛けてくる「Be Nice To Me」「Hope I'm Around」の楽曲の良さにとどめを刺されます。たった独りで世界に哀しみと優しさを届けていく、真摯なメッセージが静かにさし出されるような魅力を有した作品はこれ以外にない。本作以降は比較的バンド然としていきますので、それはそれでいいものの、いわゆるSSWとしての傑作はこの2ndだと誰もが思うのではないかと。

非常にお勧めのアルバムです。