キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『Absent Lovers 1』

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84年カナダのモントリオール公演はツアーの最終日であると同時に80年代クリムゾンのラストショウでもありました。何と公演の翌日にロバート・フリップからメンバーに解散が告げられています。ライブの演奏は映像化された日本公演にセットリストも近く、演奏そのものも脂が乗ってきていて緊張感とこなれた感じが良い具合に混じり合ったものなんですが、これがラストになるとはメンバーも観客も思わなかったことでしょう。ピークを極めたら分解してしまう。あくまで成熟を良しとしない。この辺りも天才肌ですね。

「Red」の演奏が入っているのが儲け物ですが、映像で意外とその良さを再発見できた「Industry」なんかも良い演奏です。ビル・ブルフォードのドラムが凄い、という話ですが、これは確かにアグレッシブで、それこそ日本公演のパフォーマンスの印象を更に更新している感じです。「Indisipline」というより「太陽と戦慄パート3」でのフィルインに指摘内容は感じる部分がありました。

ロバート・フリップからすると、80年代クリムゾンは『Disipline』1枚あれば充分で、そこで始まって終わっていたんでしょう。その後の活動はある意味そのエッセンスを薄めて持続させたもので、常に引き際を見定めていたんじゃないでしょうか。このラストショウを聴いていると、そんなことを考えるようになりました。