キンクス『Something Else By The Kinks (Deluxe Edition) 』

f:id:tyunne:20181108200703j:plain

キンクスのデラックス・エディションはその単価の高さで発売時はスルーしてきてしまいました。何故かオリジナル・アルバムはボーナストラックなしのシンプルなものを聴きたい、という妙なこだわりを買わない理由にしていたんですが、単純に決定版を見逃してしまってはやはり惜しい、ということで折に触れてポツポツと集めていくことにしています。中古でも高いんですけどね。

そんな中、偶然見つけたこのアルバム。丁度、キンクスの持っている全作品をiPodで聴き直していた直後だったので、迷わず手にとりました。このアルバムは本当にいい。

67年リリースということで自分が生まれる前の作品ですが、この後に続く名盤の『The Village Green Presavation Society』の一つ前の作品ということで、成熟と勢いが同居するキンクスならではの個性が充分に発揮された好盤だと思います。

デラックス・エディションはモノラルとステレオの両バージョンが入っていて、かつ大量のボーナストラックが楽しめます。今回初めてモノラルを聴きましたが、やはりグイグイ押してくる感覚があって躍動感が物凄いですね。発売当初はモノラルとステレオを両方入れる価値が今ひとつピンとこなかったんですが、やはりビートルズ以降見直されたモノラルの価値、それはアーティスト自身がモノラルミックスを正式な作品として捉えていたことに起因するもので、これを聴いて初めてアーティスト側の意図が分かる、そのことに気付くのが遅かった。これは反省点です。

何といっても7曲目の「Situation Vacant」、これに尽きる訳ですが、これもモノラルの凝縮感がカッコよかった。再発見させてもらいました。勿論「Waterloo Sunset」や「Afternoon Tea」もいいんですが、やはり白眉はアナログでいうA面、特に4曲目「No Return」以降の展開にあるように思います。こんな粒揃いの作品はなかなかないですよ。

同時期にシングルのみで出ていた「Autumn Almanac」も本当に変わっていてカッコいい曲で、これが受け入れられていた当時のイギリスという国は何て洒落た国だったんだろうと感心してしまいます。

ということで、久々に堪能させて頂きました。いいアルバムだと思います。