ザ・キンクス『Muswell Hillbillies (Deluxe Edition)』disc 1

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パイ時代のキンクスの作品がソニーに版権を移して再発されることになりましたが、これを機にずっとスルーしていたデラックス・エディションを揃えていくことにしました。キンクスは何度も色々な形で再発がなされていて、エルヴィス・コステロ同様にどのバージョンを買ったら良いか悩ましいところなんですが、やはり今回は決定盤と捉えていくしかないかな、と考えています。

とはいえ、今回の発表では再発対象は70年作品まで。となると71年発表の本作は対象から外れる訳です。RCA移籍第一弾アルバムですから契約上仕方ないとして、そうなるとこの作品はユニバーサルから昨年やっと出たデラックス・エディションを手に入れておくしかない。売り切れてしまう前に手にすることにしました。色々と難しいですね。

キンクスはやはりこのアルバムまでが絶頂期と捉えています。本作は前作とは打って変わったアメリカ南部風味の特異な内容なんですが、その後のしつこくて粘っこい世界に比べるとまだバランスが取れていて、作品としてコンパクトにまとまっている。何といっても必殺の名曲『20th Century Man』が入っています。これは何度聴いても鳥肌が立ちますね。他にも『Complicated Life』や『Uncle Son』といった緩く気怠い、かつカッコいいという絶妙の楽曲が入っていて、当時の新機軸が永遠に輝く。

この頃のビジュアルも強烈で、一部はビートクラブで観ることが出来ますが、まったく売れ線を狙わない少し怪しげな雰囲気を漂わせた唯一無二の存在感を醸し出しています。リマスターの音はそこそこ音圧もあり、レベル越えギリギリの音の鳴りは聴いていて心配になるほど。今回聴き直して、こんなに左右に音が振り分けられていたのか、と再認識しました。

それにしても今回で3回目の買い直し。もうこれで最後にしたいと思いますが、そういう意味でもソニーの今後の再発群には期待したいところですね。果たしてどういった仕様で来るのか。まずは9月の『ローラ』からということになります。