2枚目はMonoのリマスターです。ステレオとモノをリマスターして再発していくプロジェクトはキンクスの方がビートルズより手掛けたのが早くて、モノ盤が発売当初は大半のリスナーの耳に届いていたという事実を踏まえてきちんと再発していく、という意味合いが当時はよく分かりませんでした。
「何でこんなことをするんだろう、ステレオもモノも大して変わらんでしょ」と思って初期キンクスのステレオ/モノ2枚組リマスターに手を出すのは大分後になってからになる。しかし、これはとても丁寧な再発作業だったんですね。
それにしても今回の再発でも各々のディスクに10曲近いボーナストラックが入っていて、既出が多いとはいえそのどれもが興味深い音源、というのは驚異的なことで、アルバム2枚分を追加で聴いている気分になります。
そしてやはりこの捻くれ具合はキンクスがXTCの源流であることを強く印象付けます。アンディ・パートリッジの参照先は決してビートルズだけではない。キンクスも重要な位置を占めていると思います。
で、今回目玉の「Time Song」ですが、とても静かな佇まいの曲で、レイ・デイヴィスが自宅で弾き語りを聴かせてくれているような、優しい音源となっています。永遠に輝くヴィレッジ・グリーンは半世紀の時を経て更にバージョン・アップしていく。