高野寛『th@nks』

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92年というと個人的には就職2年目、ということで福島県で孤独な生活を送っていた頃にあたります。90年代初頭は音楽的にも不毛で、特に情報が遮断された環境にあったことが災いしてほとんど新しい発見もなく時間が過ぎていったように記憶しています。この作品はそんな92年のリリース。前作同様に一度売ってしまったタイトルです。

曲が悪いかというとそんなことはなくて、ポップな楽曲が大半を占めています。何故売ってしまったのか。原因は同じく左程聴かなかったからだとは思いますが、それにしても失礼な話です。余程当時金がなかったのでしょう。

リードトラックの「泡の魔術」が楽曲的には突出していますが、トッド・ラングレン師匠との学習の時期を経て自らセルフプロデュースで挑んだ作品、といったところでしょうか。実は本作で高野寛には手を出さなくなってしまい、1作置いて95年の『Sorrow and Smile』まで時間を空けることになるんですが、その放置の意味合いはきっと本作の物足りなさにあるんだろうと思います。高野寛はシングルだけ追っていればいい。そんな風に当時感じていたのかもしれません。実際「泡の魔術」も「Blue Stone」も買いましたし。しかし『Sorrow and Smile』からまた間を置いて、YMOのサポートやpupaへの参加を経た『Rainbow Magic』まで間が空いてしまいます。その間何と14年。

この間に何があったのか。それを今回探れると思っています。