ベニー・シングス『i Love You』

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05年リリースの2nd。驚く程今と変わっていないが、若干ポップ度合が強いかな。この人も天才だと思う。

ライブと書いてあるがこれは疑似ライブか?良く分からないがとりあえず音は凝っていて面白いし相変わらずコーラスやメロディの複雑さにシンプルなリズムが絡んで心地いい。オランダからこんなアーティストが出てくるというのはどういった流れなんだろう。既にジョヴァンカもゲストボーカルで活躍している。ジャズ風味の音に打ち込みのリズム。刺激的なコーラスワークに複雑な旋律と聴きどころは多い。何か同じようなことを繰り返し言ってる気もするが・・。

2ndの時点でこの完成度なので後は流しても良さそうなもんだが、実際には一アーティストというよりプロデューサーとして活躍していて、最近では国内のアーティストも依頼している。誰だっけな?名前が出てこない。大分褒めてたっけ。宅録系ということでトッド・ラングレンが引き合いに出されたり高野寛が絶賛したりと評価のされ方はその系統。確かにそうだが今この時代にこれをやる意味は何かと考える。答えはまだないが、最近のオリジナル・ラブのひとりソウルツアーなんかでの田島貴男のコメントを見るとヒントがありそうだ。

キーワードはブルースだ。以前のブルースのアーティストは一人でギターを弾いて歌ってブルースハープ鳴らして大道芸のように歌い歩いていた。それと宅録とはあまり関係ないようにも思うが一人ですべてをやること、その恍惚感というかすべての血管に血を巡らしていくような、完璧主義とはまた違う一人盛り上がり状態。これがやめられないのが奥田民生やアンディ・パートリッジなんだと思う。トッド・ラングレンの場合それがプロフェッショナルの仕事として割り切っている感じも見受けられるが、何にも気兼ねせずに黙々と録音していく形態に魅力を感じるアーティストが後を絶たないのには何か強力なモチベーションが必要で、それが恐らくこうした気兼ねのなさ、煩わしくない気楽さ、自由さなんだと思う。

ベニー・シングスの場合、自分のファミリーも有していて、その仲間で作品も作っているようだから、チームでの楽しさとひとりでの気楽さを使い分けている。奥田民生ユニコーン再結成の時に「楽ですね」とコメントしていたっけ。きっとそういうことなんだろう。うん、結論が出たかな。でももう少し考えよう。ブライアン・ウィルソンも控えているしね。