ユートピア『Ra』

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ユートピアが現行の4人体制になって初めてのアルバムで、プログレ期は大体ここまで。ここでの演奏はとてもタイトで楽曲の粒立ちも丁度良い具合です。

2曲目の「Magic Dragon Theater」は鈴木さえ子がお気に入りで挙げていた楽曲で、そのコーラスワークの複雑さとポップな佇まいに何度もやられました。この時期のライブの映像も観ましたが、ステージにピラミッドやスフィンクスを置いてトッドがそれに上ってギターを弾くという極めて危険なもので、よく事故がなかったなあ、と感心してしまいます。

77年リリースですが、ユートピアとしては後もう1枚アルバムを同年にリリースしていて物凄い創作意欲です。この多作ぶりで70年代を駆け抜けていったトッド・ラングレンは80年代に入ると一度失速してその後極右極左に振れながら迷走していきますが、70年代後半までは本当に絶好調で、ここで築き上げたものがその後もトッドの印象を決定していく。この作品はその最中にいるひとつの頂と見て差し支えないと思います。