U2『The Unforgettable Fire』

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U2を『War』だけ聴いておけばいいと思っていたのはこの作品をリリース当時聴いて地味に感じたからかもしれません。基本的に説教臭い音楽は余り好きではなかったですし、シングルヒットした「Pride」も何となくしつこい感じがしたので琴線に触れなかったんですが、今現在の耳で当時のボヤッとした音像を聴くと、不思議と心地良く感じられるような気がしてもう一度きちんと聴いてみることにしました。例によって中古の安めの買い物です。

ブライアン・イーノがプロデュースする、という話を聞いて期待して当時はレンタルレコードで聴いた記憶がありますが、高校生の耳には刺激が足りな過ぎました。改めて聴いてみるとやはりエッジのギターが耳に響いてきて、かつリズム隊のシャープな佇まいになかなかの心地良さを感じます。説教臭さが鼻につかない。

スティーヴ・リリーホワイトのソリッドな音の使い方に比べてベールに包まれたような音の数々は孤高の感触を与えて、それが自分にとっては遠い存在だったんですが、それも昔の話。あくまでポップスの領域で響いている音は左程分かりにくいものでもないし、アイルランドの寒々しい感じもない。何より大きく出た政治性とか魂の音楽とかいう大袈裟なレッテルとは無縁な響きを感じることが出来ます。

単純に音楽ですから、まずは気持ちよくなることが大事です。どうもこの辺りの英国の音楽に再度耳が向いてきているように思います。最近は80年代を振り返ってみようと考えているところです。