山下達郎『SONORITE』

昨日の山下達郎のFM特番は充実の内容でしたが、特に司会のアナウンサーの方の愛情に溢れた聴き込みっぷりが痛快でした。山下達郎ご本人も苦笑してしまうくらいのマニアックぶりで、非常に良かった。でも山下達郎の音楽は外に対して開けているのが重要なので、決して敷居が高くならない。そこが良いところですね。


こちらは05年リリース作品ですが、録音技術環境におけるデジタル化との格闘、という印象が強くて、楽曲も打ち込み主体の音楽が耳に入ってきます。そんな中で「LIGHTNING BOY」みたいな従来型の楽曲にどうしても耳が惹きつけられてしまいますが、全体的にはちょっとキラーチューンに欠けてしまっている印象を受けます。

 

この前に一連の過去作品のリマスターがあったり、録音物の発表からライブ活動への回帰へビジネスの主体を移行したりといった変化が起きた時期でもあるため、時代の変わり目に出た作品として記憶されていく形になっているんだと思います。そして内容もその環境変化にリンクしている。次作の『Ray Of Hope』に比べてどこか自然体の部分が不足してしまっているのは否めないのかな、と感じました。

 

佳作が多い、ということは聴き込むと良くなってくるし、寝かすとまた立ち上がってくる、という作品なのかもしれません。