テイ・トウワ『ZOUNDTRACKS』


テイ・トウワの2枚同時リリースの新作。もう一方はインストの作品でした。

 

感触的には細野晴臣のCM集、『コインシデンタル・ミュージック』に似ていて、素材としての小品が集まった作品のように感じます。YMO散開後に細野晴臣は2つのレーベルを立ち上げましたが、ひとつがノン・スタンダード、もうひとつがモナド・レーベルでした。『コインシデンタル・ミュージック』はモナドから出ていますが、どちらかというと本作もそちらに近い。

 

『TOUCH』が様々なゲストを招いた表のアルバムだとすると、こちらは一人で作り上げた裏の作品。太陽と月、躁と鬱、色々と言い方はありますが、コロナがずっと続いていたら恐らくこうした一人で創る作品だけが量産されていった可能性があります。そうなった場合は、かなり謎めいた印象を与えたことでしょう。

 

実はこちらのインスト作品がテイ・トウワの本質で、同時にリリースされた『TOUCH』は社会に向けた表向きの顔、と捉えることもできます。どちらにせよ、2つでひとつ。ノン・スタンダードとモナドのようにコインの裏表として一体になっている作品だと言えそうです。従って、どちらかひとつでは成立しない、ということになります。