テイ・トウワ『TOUCH』


テイ・トウワの新作がリリースされました。しかも2枚同時リリース。ここへ来てこの制作意欲は凄いなあ、と思いましたが、聴いてみるとこれが非常に音が重かった。とても重厚な作品です。

 

METAFIVEのラスト・アルバム『METAATEM』でのテイ・トウワの作品は非常にポップで軽快なイメージの楽曲でしたので、この新作でもそうした展開を予想していました。しかし、そうはなっていなかった。相変わらずゲストは多彩で毎回楽しいんですが、音が非常にシリアスです。

 

聴きながら考えていたんですが、この感触はYMO散開後の坂本龍一の『未来派野郎』や細野晴臣の組んだユニットFOEに近い。あの頃の二人の音に漂う重厚なイメージが、本作にも感じられます。

 

これはYMOとMETAFIVEがそれぞれ収束した後に起こしたアクションとして、過剰なまでに積極的な攻める姿勢が前面化した結果の現象ではないかと考えます。最初聴いた時にはびっくりするんですが、時間が経って振り返ると実は本質的なものが根底に流れている。この作品もそんな位置付けになっていくような気がしました。

 

高橋幸宏のボーカルをフィーチャーした「RADIO」も再録されていますが、ビートがきつい。この辺りが単なるセンチメンタリズムではない姿勢を物語っていると思います。