テイ・トウワ『EMO』

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坂本龍一に先駆けてまずはテイ・トウワの新作です。METAFIVEに参加してからの作品なのでもう少しバンドへの所属感が音に出ているかと思いましたが、左程でもありませんでした。

相変わらずゲストは多彩で、そこに自らの音のアイディアを重ねて行く手法はいつもと同じ。これを機に通勤時にこれまでの作品を聴き直しましたが、やはり『Big Fan』を境にして徐々に音が硬質化していっている過程が見て取れました。そのため前作の『CUTE』なんかは音が堅過ぎて印象に残らない作品になっています。この人の場合、ウェットな感覚がもう少し前面化した方がいい作品になると思うんですが。

とはいえEMOは今時のワードですね。テイ・トウワの場合、温泉が好きだったり「サラリーマン金太郎」を読破していたりと、微笑ましいキャラクターが垣間見えるところが魅力なんですが、先日のラジオでも「嫌なことがあったらすぐ寝て忘れる」といったまるでマネジメント論の基本のようないいことをおっしゃっていたので、とても憎めない人だなあ、と改めて感じました。

そんな人が作る音楽なので愛されて然るべきなんですが、もう少し音を柔らかくしたらもっと多くの人が聴いてくれると思うんです。その想いは今作も変わりませんでした。