XTC『The Big Express / The Surround Sound Series』disc 2

2枚目のブルーレイ・ディスクには様々な音源が入っていますが、ここでは未発表曲に限定して触れておこうと思います。その代わり全曲解説。

 

2023MIXで2曲のアウトテイクが収録されていますが、一つ目は「Broomstick Rhythm」。この曲はアンディ・パートリッジのデモ音源集『Fuzzy Warbles』のVol.5に収録されていますが、ここではかなり整理された音になっています。大分いい曲になりましたね。

 

2曲目は驚きの「The Troubles」インスト・バージョンで、元々は次作の『Skylarking』からのシングル「The Meeting Place」12インチに収録されたデモバージョンが世に出ていました。これがインストとはいえ整理された音で収録されているんですが、これを聴いて初めてこの曲がニューオーリンズのビートだったことに気付きました。

 

デモ音源ではオリジナル・アルバム収録曲以外では6曲。最初は「Now We All Dead (It Doesn't Matter)」です。この曲は断片的ではありますが海賊盤で聴いていた時から大好きな曲で、これを仕上げてくれたら非常に勢いのあるいい曲になったのではないかと常々思っていました。確か『Fuzzy Warbles』のボーナスディスクに収録されていたと思います。

 

2曲目は「Work」で、こちらは『Fuzzy Warbles』ではVol.3に収録されています。ちょっと牧歌的な曲。3曲目は「Gangway, Electric Guitar Is Coming Through」。『Fuzzy Warbles』のVol.4に収録されていましたが、この曲も勢いのある断片的なデモ音源です。途中で終わってしまうのが勿体無い。これと「Now We All Dead」は完成まで持っていって欲しかった曲ですね。

 

そして先ほど触れた「Broomstick Rhythm」を経て、このシリーズで隠れた目玉になっているコリン・ムールディングのデモ音源に続きます。アンディ・パートリッジは『Fuzzy Warbles』で大量のデモ音源を世に出していますが、コリン・ムールディングは当時その趣旨に賛同しなかったためにデモ音源をまとめてリリースすることはありませんでした。このサラウンド・シリーズではそこが蔵出しになるのがポイントです。

 

2曲のデモ音源が収録されていますが、ひとつはこちらも驚きの「Shiny Cage」。こちらは変名サイケバンドのDukes of Stratosphereの2ndで発表された曲ですが、この時点で既に作られていたとは!もう既に原型は完成している感じです。

 

そして2曲目は「A Patriotic Romance」という曲で、これは初めて聴きました。歌詞に「War Dance」という単語が出てくるので、後の同名楽曲に発展したのではないかと推測しますが、端的にいい曲です。

 

ということで、リリースされる度にびっくりするような音源が蔵出しされるのでまだまだXTCは楽しい。非常に贅沢な時代になったなあ、と毎回思いながら聴いています。