第4集は何といっても「Blue Beret」でしょう。『オレンジズ&レモンズ』発表時のアメリカFM局でのアコースティックライブ音源が海賊盤で出回っていましたが、そこでピカイチのクオリティを醸し出していた曲。文句なしに素晴らしい演奏でしたが、ここでのデモバージョンは若干音がもたついていて切れ味こそ鋭くないものの楽曲の良さは充分伝わってきます。
「Bumpercars」は『ワスプ・スター』のインスト盤にボーナストラックとして収録されていた曲。このあたりをどんどん押さえていって欲しかった。「I'm Playing My Fano」や「Zonked Right Out On Life」「All I Dream Of Is A Friend」「Gangway, Electric Guitar Is Coming Through」あたりはナップスターでお目にかかっていたので正式収録に満足。楽曲のクオリティはともかくこうした大量の未発表曲が存在するのはXTCの真骨頂です。
過去の歴史を振り返る作業というのは大滝詠一が後半の半生をかけて行っていたことですし、フランク・ザッパも晩年に意識的に大量のライブ音源を編纂していた。当時アンディ・パートリッジがこうした作業に取り組み始めたことで健康面を心配しましたが、端的にナイアガラ同様自らの音源のリリースの場としてApeを手にしたことが大きいのではないかと思います。その後、若手のアーティストのプロデュース作品もリリースが続きましたので、まずはこうした蔵出しが第一弾だったのでしょう。
ここから既に10年以上経った2016年時点でXTCの復活はまだなされていません。アンディ自身が自らをバンドマンとして捉えていることから、コリン・ムールディングとの年齢を重ねた上での邂逅、仲を取り持つメンバーの登場がポイントなんだろうと思います。YMOと同じですね。