95年という暗い年にリリースされたこの作品はひたすら沈鬱で難解な印象があり、聴き返すこともほとんどありませんでした。そしてその印象は今回聴いても左程変わりません。これはきついアルバムだ。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件に加えてメンバーの武川雅寛がハイジャックに遭遇して一瞬とはいえ死の恐怖に直面した。これはやっぱり不穏な出来事だし、その状況を意識するとどうしても作品は沈んでいってしまう。これは時代が産んだものだと捉えるしかないでしょう。
とはいえやっぱりこのアルバムはキラー・チューンには欠けるし、聴いていて重くなってしまうので、特別な価値を見出すことは残念ながら出来ません。これはきっとこれからもそうで、かつ95年の時点でもそうだった。次作の『Bizarre Music For You』がなかったら自分はムーンライダーズから離れていったと思います。