ムーンライダーズ『moonriders FUN HOUSE YEARS』disc 1 『Beautiful Young Generation HIGH SCHOOL BASEMENT 1』『Le Cafe de la Plage』


ファンハウス時代のムーンライダーズのボックス・セットを入手しました。この時期のムーンライダーズは難解なイメージが強かったんですが、20周年ということでリリースされた『Bizarre Music For You』が出色の出来だったので、どうしても誘惑に抗えずに手を出してしまいました。果たして今の耳で聴いてどうなるか。

 

disc 1はカヴァー・アルバム2種。『B.Y.G. HIGH SCHOOL BASEMENT 1』を最初に聴いた時は、その余りの音像の恐ろしさに拒否反応が走ったのを覚えています。ただ、今聴き直してみると、難解なのは「赤色エレジー」と「くれないホテル」の2曲で、後は結構聴きやすかったりします。「卒業」なんて抜群にいい曲だし、「大寒町」の初のスタジオ録音版もある。

 

トータルで聴いていても結構恐怖感は払拭されていて、意外とスッと耳に入ってきました。しかし、これを最初に聴いたファンハウスの人はさぞかし驚いただろうし、在籍期間が長く続かなかったのも頷けます。やっぱり一発目がこれだと怖いだろうなあ。自分も怖かったけど。

 

続くセルフ・カヴァー・アルバムは何とレゲエ調で、これにも当時びっくりしました。そしてやっぱり拒否反応が先に出た。この後の『ムーンライダーズの夜』も暗いアルバムで、正直言ってあまりいい印象はないんですが、ここで弾けたレゲエ・アルバムにも不穏な雰囲気を感じたし、ジャングルなんかで時代に迎合している感じも嫌でした。

 

ところが、これも時間を経て今の耳で聴くと結構いいんですよ。何でなのかよく分かりませんが、やっぱり単純に曲がいいんでしょうね。アレンジが変わっても楽曲の良さが時代を飛び越えてしまう。そして「ああ、こういう時代だったな」と振り返って微笑ましく聴けてしまいます。時間というのは恐ろしいものですね。

 

全体的に聴き直して見直した作品でした。音もいいし、違和感も消えた。初聴きはきついでしょうが、聴き直しだとOK、といった感じかな。