ムーンライダーズ『マニア・マニエラ』

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最初の出会いはやはりカセットブックでした。修学旅行先の京都の本屋で見つけて購入し、部屋で友人のいる中で聴いた違和感。でも自分はすっかりこの工学的な魅力にはまっていました。発売の経緯から『青空百景』と対をなすアルバムですが、今聴くと決して難解な印象はなく、むしろムーンライダーズの代表曲が納められた時代を超える作品として楽しめると思います。

白眉は『工場と微笑』ですね。垂直な男、平行な女。この言葉の感覚。リフの官能的な響き。完璧な一曲といって差し支えないでしょう。羽田から生まれたロマンチズムが最良の形で沸点を迎えた瞬間だと思います。

その他、全体的にもニューウェーブの洗礼を受けたメンバーのエッジの立った楽曲が並んでいて、実験性と叙情性が見事なバランスで成り立っている希有な作品です。