ムーンライダーズ『ヌーヴェル・ヴァーグ』

f:id:tyunne:20181114211103j:plain

遡って聴いていったムーンライダーズの初期作品の中でも前作に続いて地味な印象を残したアルバムです。今聴くとなかなかいい曲もあるし、冒頭の「スイマー」なんかはその後も何度もライブで演奏された有名曲。マンフレッド・マンのカバー「My Name Is Jack」もその後何度も登場する「ジャック」という名前が初めて出て来た歴史的な一曲なんですが、時期的にニューウェーブと古き良きポップスが混在しているような感じがして今ひとつのめり込めませんでした。

松武秀樹とがっぷり四つで制作した「いとこ同士」がある一方で珠玉の旋律「スタジオ・ミュージシャン」があったりとトータリティに欠けてしまう。それでも音の質感は意外と躍動的で古いながらも色褪せない。不思議なブレンド具合が妙に引っかかります。

やっぱり自分には「夜の伯爵」のような世界はトゥーマッチなんでしょうね。前作の『イスタンブール・マンボ』と共に過渡期として捉えざるを得ない作品です。悪くないけどね。