ムーンライダーズ『イスタンブール・マンボ』

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初期のムーンライダーズは昔の音源に行けば行く程良くなって来るんですが、赤いアルバムに一歩譲る3作目。ここは「週末の恋人」で決まりでしょう。

バイオリンがメンバーにいるという特徴を最大限に活かした珠玉の名曲は岡田徹のハース・マルティネスばりのハスキーボーカルが耳を引っ掻きますが、何といっても展開の素晴らしさ。映画を観ているようです。とはいえ全体的には無国籍音楽と呼ばれたごった煮感が拭えず地味な印象。悪くない、悪くないんですがその後の活動のインパクトからするとスタンダード過ぎて頭ひとつ他の時期に譲ってしまう。

恐らく遡って聴いた中では一番最後に手を出した作品だと思います。でも今聴くといい曲が多くて不思議と歳をとればとる程良くなってくる。大人の音楽なんですね。70年代後半の成熟した時代の空気が漂っている洒落た音楽だと思います。朴訥とした印象がありましたが、掘り込んでいくとその魅力が少しずつ表面化してくる。まだまだ自分の耳が幼稚なんでしょう。

白井良明が新メンバーとして参加した記念すべき作品でもあります。