ムーンライダーズ『ANIMAL INDEX』

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実は一番好きかもしれないムーンライダーズの85年リリース作品。当時高校生でしたが、前作の『アマチュア・アカデミー』が周囲の一握りの友人に受けが良かったのでこちらも薦めた記憶があります。確かコンサートも行ったはずですが、メンバーが幕の向こうに隠れていてなかなか顔を出さない不思議な演出だったような・・。

基本的に6人のメンバーが2曲ずつ持ち寄る形で制作されたホワイトアルバムのような作品なのでソロ作品を集めたような形式ですが、そもそも当時ライダーズのメンバーはソロを余り出していませんでしたので、良くいわれる第7のメンバーを意識したバンドとしてのトータリティが逆説的に溢れた作品となっています。

冒頭の「悲しいしらせ」は鈴木慶一が当時溺死したたこ八郎に敬意を込めて作った作品とのことですが、まずはこの曲の複雑さにやられてしまいました。一度聴いただけでは理解できない浮遊感を有しています。白井良明の「犬にインタビュー」も当時ゾクゾクしながら聴いていました。

でも何といっても白眉は鈴木博文の「駅は今、朝の中」です。このまるで映画のような情景描写とティアーズ・フォー・フィアーズをサンプリングした強烈な音像は30年間耳にこびりついて離れません。そして鈴木慶一の「歩いて、車で、スプートニクで」は記憶と記録というテーマが世の中に提示された記念碑的な作品。当時サウンドストリート坂本龍一もこの曲が一番好きと言っていました。本当に痺れる作品です。

ライブで繰り返し演奏されるかしぶち哲郎の「Frou Frou」や歌詞の世界観に持っていかれる「夢が見れる機械が欲しい」、タイトルだけですべてを物語る「僕は走って灰になる」等、名作揃いの一品です。