オリジナル・ラヴ『ELEVEN GURAFFITI』

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オリジナル・ラヴが『風の歌を聴け』でピークを極めたのが94年。その後『RAINBOW RACE』『ディザイアー』と来て『L』で変質する狭間にあるのがこの作品です。『ディザイアー』にはヒットした「プライマル」が収録されていますが、思えばこれがひとつの分岐点かもしれません。ここから田島貴男単独ユニットとして再スタートを切った時期になりますので。

97年のこの作品は時代に埋没して余り目立ちませんが、「ビター・スウィート」「アイリス」「アンブレラズ」といった極上の逸品がさりげなく収録されており見逃せません。冒頭からドラムンベースが鳴ってしまうのはご愛嬌ですが、先に挙げた『L』での混沌への原点回帰の一歩手前にある絶妙な緊張感と、まだポップスのフィールドにギリギリ納まっていた頃の楽曲の端的な良さが聴き流すことを拒絶する引っかかりを持って耳に迫って切る不思議な作品となっています。