ムーンライダーズ『moonriders FUN HOUSE YEARS』disc 5『Home Demo and Rare Tracks』

5枚目はデモトラック集。これは結構面白い。

 

ムーンライダーズはメンバーが6人もいるので、あるテーマを与えられるとコンペで曲を持ち寄ることができるバンドです。この辺りの民主主義的な手法がとても微笑ましいし、層を厚くしている。ご自身の曲が採用されるかどうか、といったせめぎ合いもあったかと思いますが、それでも仕組みは楽しい。お披露目の会議があったりしていいですね。

 

今回収録されているポーラ化粧品(「海の家」として結実)とキリンラガービール(「冷えたビールがないなんて」として結実)のCM曲の持ち寄りはとても楽しく聴けました。また「赤色エレジー」のカバーの持ち寄りもやっていて、これが結果的に最終系にミックスされて反映されたんだなあ、などと楽しむことができた。できれば「ニットキャップマン」の持ち寄りも聴いてみたかったなあ。それは贅沢というものでしょうが。

 

デモトラック集ということで最初はちょっと気が引けていたんですが、冒頭の「名犬ロンドン物語」の鈴木博文デモ音源からして非常に良かった。本編の攻めたアレンジではなく落ち着いた静かなトラックで、こっちの方がいいじゃん、と思わせるもの。他にも随所に「こうもありえたかも」という音源が沢山あって、これは宝の山ですね。アンディ・パートリッジのデモ集にも同じことを感じましたが、こうした原石を掘り起こすのは背景を覗いているようでとても楽しい。ご本人たちは嫌かもしれませんが・・。