スチャダラパー『偶然のアルバム』


96年リリースの6作目。この作品は何故か持っていませんでした。当時何度も迷って結局手にしなかったんですが、その理由はスチャダラパーがシリアスになって来たことが原因です。

 

何故か次作の『fun-key LP』は持っているんですが、そこでのシリアスさはちょっと受け入れにくかった。スチャダラパーはお笑いでセンスが爆発している音楽だと思っていたので、そこが失われてきたのが残念でした。

 

でもこの『偶然のアルバム』の頃のシングル「クライング・ドゥービーマン」「アクアフレッシュ」は傑作で、前者はよくカラオケで歌っていましたし、後者は後々も聴き返してそのライムの複雑さに舌を巻いていました。その2曲が収録されているのに当時手を出さなかった、あるいはレンタルで聴いてスルーしていた。

 

それは何故かと尋ねたら、きっと前作の『5th WHEEL 2 the Coach』で絶頂に達した余波が聴き手にも作り手にも出ていたからではないかと思います。ピークはずっとは続かない。でもその後スチャダラパーがこんなに長続きしているのは、実はこの辺りで路線変更したからではないか。その辺はもう少し周辺の音を聴いてみないと分かりませんので、堀込高樹に倣って聴き返してみたいと思っています。