戸川純『玉姫様』

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アンコールプレスで出回っているので、とりあえず購入。ずっと細野晴臣プロデュースかと思っていたけど、実際はセルフプロデュースで細野さんは表題曲の作曲者なんですね。

当時は貸レコード屋で借りて聴いたくらいで、買いはしませんでした。YEN関連に手を出し始めるときりがなかったので。でも強烈なインパクトを持っていて、その後の騒がれぶりも分かろうというもの。

久しぶりに聴いてみると意外と音が薄い。もう少し奥行きがあるかと思ってましたがそうでもないですね。表題曲と『隣の印度人』の印象がとにかく強くて、細野晴臣はともかく佐伯健三とは何者なのか?と当時興味をそそられたものです。この千葉県発のハルメンズ人脈が存分に活かされているアルバムでは、ハルメンズのカバーがとりわけ独特の印象を放っています。

詞の世界がマニアへの入り口になっていて、その後も続くニューウェーブと奇妙なオカルト路線にはまっていって抜け出せない、あるいは沈んでいく、隠れてこびりつく、といった影響力をもっています。要するに当時のニューウェーブパンク系雑誌(フールズメイト)の世界。これを立ち読みするのは心霊写真と同じ恐いもの見たさだった。スターリンとかハナタラシとか非常階段とかね。

歌詞に同化するのは本意ではないのであまり触れませんが、「肉塊」「座敷牢」「発作」みたいなキャッチーな言葉がこのアルバムを記憶に残していくキーになっているように思います。でも良く出来てるなあ。