あがた森魚『永遠の遠国の歌』

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矢野顕子の『JAPANESE GIRL』はあがた森魚の『日本少年』への返答となっているそうだが、こちらもたまたま一緒に発見して購入した。傑作『永遠の遠国』のダイジェスト盤で既に廃盤。

一番最初に聴いたのは実はこれで、学生時代にJANISでレンタルした。そのため、『永遠の遠国』のイメージはこちらのダイジェスト盤の方で印象に残っていて、本体を手にした時にはその余りの壮大さにどうしても何度も手が伸びることがなかった。ボリューム的にはこのくらいの方が丁度いい訳で。

冒頭の『いとしの第六惑星』でまずやられてしまうが、ここでの間奏のソロは先日聴いたThe Band の『ROCK OF AGES』の『Unfaithful Servant』みたいだ。細野晴臣プロデュースの『淋しいエスキモウの様に』は鳥肌モノのクオリティで、続く『永遠の遠国のうた』と共にムーンライダーズ細野晴臣によって演奏されている。『スターカッスル星の夜の爆発』では途中で大貫妙子の透明感のあるボーカルが入ってくる優れもの。ここでの詩は稲垣足穂から引用されているが、もともとムーンライダーズという名前は稲垣足穂の詩から鈴木博文が見つけてきたもの。最近出た『タルホロジー』も勿論稲垣足穂なので、あらゆるものの原点にこの詩人がいることになる。

非常に昭和の匂いのする作品だが、一気にCD2枚組の本体に行くよりこちらで試してみるのがお勧め。名曲が詰まっている。でももう売ってないんだよなあ。