『ナイアガラCMスペシャル』

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77年リリース。これも企画盤なのでなめてかかっていたが、これは強烈。トッド・ラングレンの『魔法使いは真実のスター』A面は短い曲がひと繋がりになっためくるめく大組曲だが、それに似た短編毒の連続技だ。それぞれの曲がCMということで恐ろしくポップなので、絶え間ない緊張感が30秒単位で続いていく。何といっても演奏がキャラメル・ママだったりコーラスが当時のナイアガラ周辺アーティストだったりするので、演奏はタイトだしメロディーは綺麗。こいつは参った。

同じ趣向のアルバムはムーンライダーズ細野晴臣にもあるが、細野のCM集が比較的楽曲として完成された印象を残すものだったのに比べて、ダイレクトに短いトラックそのものを収録している本作は凝縮されている感がある。全編合わせて26分というコンパクトさだが、その分印象は強い。ほぼサイダーという感じではあるが、一生懸命作っていたんだなあと思わせるクオリティの高さだ。

CMというのはある特定のアーティスト(本業以外の仕事も重要な収入源)にとって必然なのかもしれないが、クライアントの存在や社会の反映、尺の短さといった様々な制約の中で制作しなければならないという条件下でいかに最大限のパフォーマンスを出すか、その一点に尽きる試み。これを数こなしていくというのは溢れ出るアイディアがないと成立しない。そこに積極的に取り組むというのが天才のなせる技で、つくづく偉大な人だなと思う。