細野晴臣『S-F-X』

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84年作のソロが再発になった。このタイトルだけはCDで持ってなかったので、これは嬉しい再発。巷で話題のSHM-CDを初めて手にしたことになる。

音は強烈にいいが、これがリマスターのせいなのかSHM-CDのおかげなのかは、比較対象がないので分からない。でもまあ凄い音質だ。24年前かよ、参ったなあ。当時16歳だって。演歌で有名だったテイチクに移籍して、ノンスタンダードとモナドというレーベルを同時に立ち上げて、その後少しずつ捻れていく直前の最良の瞬間を切り取っているタイトルだ。まさか今になって『ボディ・スナッチャーズ』がカントリーになるなんて、思いもしなかったよ当時。

その頃の細野晴臣は「OTT(Over The Top)」とか言っていて、「過剰」なものを探求していた。『ボディ・スナッチャーズ』なんかはその好例な訳だが、『アンドロジーナ』も『ストレンジ・ラヴ』ももの凄くカッコいい。『第3の選択』もリズムの組み合わせが好きだった。音の選び方が天才的で鬼気迫るものがある。この絶妙なバランスは長続きせず、FOEは考え過ぎでバタ臭くなってしまった感がある。

YMO散会後、各メンバーの活動が徐々に失速していく中で、当時はそのルーツに時間軸を戻していくような聴き方をしていき、はっぴいえんどを味わい始める。そんなことをしていた高校時代だったなあ。ムーンライダーズもいたしね。この5年後に『オムニ・サイト・シーイング』が出るまでは少し冬が来たような感じ。そして東京シャイネスから絶好調の現在に至るという痛快な旅路。味わえるなあ。